セブン・イレブン・ジャパン向け野菜工場が稼働 工場運営においても大きな契機

 

セブン‐イレブン・ジャパンは、セブン‐イレブン向け商品の専用『野菜工場』を2019年1月より稼働すると発表しています。

 

発表の主な内容は、

  1. 1. 運営会社は、プライムデリカ株式会社。高品質な野菜を安定的に生産することを目的に、専用工場一体型として「初」となる完全制御型野菜工場で、植物工場の稼働開始は2019年1月(フル稼働は2020年春頃を予定)
  2. 2.  玉川大学との共同開発技術であるLED光制御技術を活用した高付加価値な野菜を株式会社安川電機による自動化技術によって効率的に生産していくる
  3. 3.  生産する野菜は、リーフレタス3品種、生産能力は1日あたり約3t(フル稼働時を想定)
    というものです。

 

野菜工場の野菜は、天候等の環境が安定している場合の露地栽培と比較すると割高になることが多いようですが、昨今は異常気象による野菜の生育不良や価格高騰が頻発しているため、安定した価格で調達できる野菜工場の野菜を使用していくということなのでしょう。

 

また、野菜工場の野菜は、光の照射方法等によって高栄養価の野菜の生産が可能であることから顧客に対してのアピールポイントとなることや、鮮度向上による賞味期限が長くなる、歩留まりが高い、という特長もあり、食品残渣を抑えるという点からもメリットがありそうです。

 

野菜を消費する側の立場から見た場合の想定メリットは、上記のような点にあるかと思いますが、野菜工場の運営者側の最大のメリットは、安定した売上高が確保できる、ということです。

 

野菜工場は、東日本大震災以降建設が急増し、「第3次ブーム」と言われていますが、依然赤字企業の割合が過半を超えているとされています。

 

技術的には、LED照明の利用やITの活用など日進月歩で進んでおり、生産能力は向上しています。従来、野菜工場においては、その技術が注目され、大規模工場の建設等を行われてきましたが、野菜工場の代表的な企業といわれる先でも工場の閉鎖や事業の譲渡などが行われてきました。その大きな要因として、販売先が確保できていなかった、という点が挙げられます。

 

野菜工場の野菜はメリットも多いのですが、市場の価格帯によっては割高となることがあり、小売店等で価格を重視して仕入を行う店舗の場合、安定した販売先にはなりえず、野菜工場の運営側としては、リスクを回避するために生産数量を制限する、という選択を行わざるを得ませんでした。

 

野菜工場も、一般的な製品と同様に「規模のメリット」が発揮されることから、生産コストを下げるためにも相応の規模で販売できる先を獲得することが最重要な課題となります。

 

日本惣菜協会が2018年5月23日に発刊した「2018年版惣菜白書」によると、2017年の惣菜市場の市場規模は初の10兆円を超え、うちコンビニエンスストアの占める割合は3割を超えているとのことです。市場規模・成長性から考えても、コンビニエンス業界の最大手であるセブン・イレブン・ジャパンへ野菜を供給できるということは、運営側からしても事業計画を算定する上で、この上ない取引先ではないかと思われます。

 

弊社が事業計画の策定をサポートする際に、技術レベルの高さを事業の強みとしている企業の場合、その技術力の高さから、「製品を販売すれば売上高はついてくるもの」という発想で事業計画を作成する経営者の方に巡り合うことがあります。野菜工場の場合もそうですが、技術力の高さは売上高を獲得するための1つの要素である、という認識で事業計画を見つめなおすことが重要と思われます。

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