収益改善の現場でみる「総論賛成、各論反対」

 

「総論賛成、各論反対」。

少し古くなりますが、小泉純一郎さんが首相だった時によく耳にした言葉です。収益改善の現場では頻繁に頭に浮かぶ言葉の一つです。

 

収益をあげたいという思いはみんな同じなのですが、いざ改善作業を実施しようとすると、「いまのやり方で問題ない」、「このままの状況がよいのだ」という意見が出てきて、なかなか改善作業に着手することが難しいものです。

昔見学させていただいた印刷工場では、仕掛品をフォークリフトで天井の高さまできれいに山積みされていました。すこし自慢気に「こんなに高く積み上げていますけど、倒れることはないですね。」とのご説明を受けました。しかしながら、仕掛品を高く積み上げる作業は収益を生みださないため、後工程の生産能力拡充等の見直しを実施していく必要性があります。そのようなお話をすると、「このやり方で印刷工程はしっかりと回ってますから」と不満気な様子での回答でした。

 

現状を変える、ということはパワーが必要になります。

人間は(どちらかといえば)楽をしたいと思う生き物、パワーを使うくらいなら、現状を維持したほうが楽、という気持ちが強くなると、改善作業には軋轢が生じてしまいます。

 

収益を改善するということを単純に言うのであれば、「売上高をより多くし、経費をより少なくする」ということに尽きます。

しかし、その取り組みを行うためには、社員のマインドの変革(「改善、めんどい」から「改善、良いですね」に変えていく)が大切であり、そのマインド変革を継続するために、社内でのコミュニケーションを改善していくことが重要になります。

 

私は、「改善提案制度」は重要だと考えています。その提案により実際の改善が行われたかどうか、ということも大事ですが、「会社として常に改善、前進をしていきたいのだ!みんなも変革のマインドを持とう!」という経営姿勢を示していくことがより重要だと考えています。

「改善提案制度を持ってますか?」とご質問すると、「やってたけど、全然意見が出てこないんだよねー」というご回答も頂きます。詳しく話を聞くと、最初のうちは意見が出ていたものの、その意見に対して経営陣として何らリアクションを行わなかったため、今では存在が忘れられている、という状態に陥っているようです。

せっかく社員がマインド変革をしようとしても、経営陣―従業員間でコミュニケーションが適切に行われないと変革機運は萎んでしまいます。

 

再度、社員に変革マインドを持ってもらうためにどうすれば良いのでしょうか?

改善提案制度をやり直す、ということも一つの方法ですが、自社だけで対応が難しいのであれば、外部コンサルタントにコミュニケーション方法の見直しを依頼してみるのも良いかと思います。また、外部コンサルタントに現場に入ってもらうと、目から鱗的な意見が出される場合もあり、社内改善の議論が活発になります。

 

人間は楽をしたい生き物、と先ほど述べましたが、「最初はパワーが必要だけど、改善を行うことが、結果として楽につながるんだ。」という成功体験を早期に持ってもらうことも重要です。それは、肉体的な楽(作業が楽になった)であっても、精神的な楽(いままでの不満から解消された)であっても構いません。まずは改善を行うことのメリットを体験してもらいましょう。

 

このような取組によって、「総論賛成、各論も賛成」という社風が形成されていくのではないでしょうか。

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