🟦 創業時に直面する“資金の壁”とは
起業を志す方が最初にぶつかる壁のひとつが、「資金不足」です。

「自己資金だけで小さく始めたい」と考える方も多くいますが、創業初期には予想外の支出が次々と現れます。

たとえば、事務所の登記をシェアオフィスで行うと銀行口座の開設が難航し、

結果的に本社住所を変更するための登記費用や敷金が追加で必要になるケースも。

さらに、信頼性を高めるために企業のウェブサイトを制作する際にも費用が発生します。
加えて、資金繰りにおいて見落としがちなのが「回収と支払いのタイミングのズレ」。

たとえば、現金で商品を仕入れても、売上代金が入金されるまで1〜2か月かかることがあるため、

その間に次の仕入れ資金が必要になります。

これは自己資金だけではまかないきれない場面であり、創業者が資金不足に陥る典型的なパターンです。
こうした“落とし穴”を避けるためには、創業初期に余裕のある資金を確保しておくことが重要です。

資金があることで、想定外の出費にも柔軟に対応でき、安定した経営スタートが実現します。

🟦創業融資の制度とその魅力

そんな創業期の資金課題に対応する手段として有力なのが「創業融資」です。

特に日本政策金融公庫が提供する制度は、スタートアップにとって非常に魅力的な内容となっています。
創業融資とは、事業を始めたばかりの方や、税務申告がまだ2期未満の方を対象とする公的融資制度です。

融資は無担保・無保証人でも利用可能であり、さらに金利が一律0.65〜0.9％引き下げられるという利点があります。

設備資金は最長20年、運転資金は最長10年まで返済期間を設定できるため、

返済負担を軽減しつつ事業資金を確保することができます。
実際に令和3年度には26,000件を超える創業融資が実行されており、その平均融資額は約540万円。

多くのスタートアップがこの制度を活用して、早期の設備投資やマーケティング施策を推進しています。
創業期に創業融資を活用することで、経営者は資金面で安心し、戦略的な判断を下す余裕が生まれます。

目先の資金繰りではなく、ビジョンを持った事業運営を可能にするのが創業融資の大きな価値なのです。

🟦創業融資は「いつ」受けるべきか
では、創業融資は事業開始のどのタイミングで受けるのが良いのでしょうか？

「創業直後」と「事業が軌道に乗った1年後」の2つの選択肢が考えられます。

それぞれにメリットとデメリットがあります。
創業直後に融資を受ける場合、事業実績がまだないため、

創業者の意欲や事業計画、過去の勤務経験などが評価対象となります。

つまり、実績が出る前だからこそ柔軟に審査されるのが特徴です。

この段階であれば、夢やビジョンが重視され、融資が通りやすい傾向にあります。
一方、1年後に融資を受ける場合は、事業実績が審査基準に加わります。

決算書や試算表の内容次第では、審査が通らないことも。

実績が芳しくない場合、どんなに優れた事業計画でも融資判断は厳しくなります。

また、1年間自己資金のみで経営してきたことで資金に余裕がなくなり、

資金調達の遅れが競争力の低下に直結するリスクもあるのです。
過去の相談事例からも、「創業直後」の方が融資を受けやすく、

かつ経営基盤を早期に整えられるという結果が多く見られます。

🟦 資金こそ企業の命綱。創業融資のすすめ
企業が経営破綻する理由の多くは「資金が足りなくなること」です。

赤字の継続も問題ですが、それよりも資金繰りが回らなくなることの方が、

廃業を招く致命的な要因となります。

実際、創業後1年で約3割の企業や個人事業主が廃業しているというデータもあります。
自己資金だけではすぐに限界が訪れ、追加の資金調達が難しくなると、

営業活動や製品開発に支障が出て、企業は本来の事業すら回せなくなってしまいます。

そんな事態に陥らないよう、創業期に創業融資を活用することで、

資金の安心を得ながら、経営の持続性を高めることができます。
さらに、創業融資を受けることは企業の信頼性向上にもつながります。

取引銀行名をホームページやパンフレットに記載することで、

外部からの評価を高め、取引先や顧客に安心感を与えることができます。

また、銀行からのアドバイスやネットワークを活用することも、事業成長において強力な支援となります。
起業のスタートラインで迷っている方へ。

「創業融資」という選択肢が、あなたの事業の未来を支える第一歩になります。