個人事業主の事業承継について
団塊世代の退職が増加している昨今、経営者の高齢化も進んでおり、事業承継が問題となっております。弊社は事業承継のサポートを行っておりますので、経営者のかたから承継の方法について、アドバイスを求められることが多くございます。
中小企業向けの事業承継税制は2018年度に見直され、優遇措置が出ておりますが、今般、個人事業主の事業承継についても、事業承継にかかわる税金の支払いを猶予することで廃業などを防ぐための税制改正を政府・与党は検討に入っているようです。
検討内容としては、
新制度は、土地や建物、設備にかかる税金の支払いを一定期間猶予する(現在は、土地や建物などを事業承継する際は、生前なら贈与税、死後なら相続税が発生)
不正利用を防ぐため、承継後に後継者がすぐに事業をやめないかを確認する方法を盛り込む
生前の贈与による早期の事業承継を促す狙いもあり、10年程度の時限的な制度にする
個人事業主の土地の相続に関しては、現状でも「小規模宅地特例」という相続税を減らせる制度があり、新制度創設において、当該特例の利用条件の厳格化を検討する
という内容となっているようです。
改正案にある「すぐに事業をやめないかを確認する」ことを盛り込むとされているのですが、個人事業においても後継者が納得できるような中期的な事業見通しを作っていくことは難しいと思われます。弊社では事業規模に問わず、事業計画の策定のサポートを行っておりますので、個人事業主の事業計画策定についてもお役に立てるのではないかと思います。
経済産業省によると、70歳を超える個人事業主は2025年までに約150万になるとされています。70歳であれば、まだまだ現役という方も多いでしょうが、いずれにしろ大量発生する事業承継問題について待ったなしの状態と言えます。今回の改正内容では、対象となる個人事業主がどの程度いるのかな、という印象もあるのですが、事業承継がうまくいかずに廃業する事業が少しでも減ることを期待するところです。
私が金融機関で勤務していたころは、事業承継の話を経営者にすることは失礼なので、あまり行わない方が良い、というアドバイスを受けていました。時代は大きく移り変わってきていますね。